なぜ、最初に計算練習をさせるか

なぜ、最初に展開、因数分解といった計算練習をやらせるかというと、そこには大きなメリットがあるからです。

 直接的なメリットとしては、もちろん因数分解や展開の問題が入試で出題されると言う事もありますが、その他にも二次方程式や二次不等式、二次関数の分野でも役に立ちます。
 二次方程式や二次不等式の場合、因数分解をしてから解を求めるパターンの問題がほとんどです。ですから因数分解の力は、即、二次方程式や二次不等式を解く力になります。また二次方程式には、因数分解が使えず解の公式を使って答えを導き出すパターンの問題もあります。この問題の場合も因数分解の力が役に立ちます。因数分解の力があるということは、因数分解できない問題を見抜く力でもあります。
 二次関数でも因数分解する力は役に立ちます。平方完成をする場合や、グラフとx軸の交点を求める場合などがそうです。

 間接的なメリットとしては、計算速度の向上が挙げられます。数学の問題は、大きく分けて2つのプロセスがあります。1つは解答を考える作業。もう一つは計算をする作業です。
 看護学校の試験時間は60分というところが多いです。60分以内に解答を考えて、計算をしなければなりません。1秒でも多く解答を考える時間を確保するには、計算にかかる時間を減らす事が重要なポイントになってきます。計算を素早くし、焦らずじっくりと解法を考える事が合格への近道になります。
 普段の勉強でもそうです。計算時間を短くする事で考える時間をたくさん確保できますし、数学自体の勉強時間を減らして他の教科の勉強時間を確保する事ができます。同じ10問を解くにしても、30分で解くのと1時間で解くのでは意味が違ってきます。

 計算スピードを上げるコツとしては、繰り返しやる事が当たり前のようですが一番効果的です。教科書や教科書サイズの問題集がボロボロになるまで繰り返して初めてスピードが上がってきます。
 またダラダラとやってはいけません。時間を意識してやる事が大切です。20問解くのに5分かかったならば、次の日は20問解くのに4分50秒で解く事を目標にします。ライバルは昨日の自分です。