夢と成功

好きな事を仕事にしなさい、と親は言う。
あなたの将来の夢はなんですか、と先生は問う。
つまり、将来の職業は好きな事をしてお金を稼げというわけだ。
この教えは果たして正しいのだろうか。
 
人は成功が大好きだ。
成功体験は何よりの依存の対象である。本屋に行けば分かる。
本屋に行けば、平積みにされている本は自身の成功体験をまとめた本や
「必ず上手くいく方法」を書いた本ばかりが並んでいる。
前者をサクセス本、後者をハウトゥー本と呼んでいるが、
この2種類が溢れているのは、いかに人が他人の成功体験に依存して、
真似しようとしているかの現れである。
 
サクセス本もハウトゥー本も悪いとは言わないけれど、
すぐにホイホイと本に頼るのもどうかしていると思う。
サクセス本には、それは社会的に成功したような人が書いているんだから
たいそう立派な事が書かれていると思うし、それは十分に参考に出来ると思う。
でも成功する為には、その本に書かれている事を100%実践すればお金持ちになれるのか?
 
まず実践出来ないだろう。
著者と読者は環境も立場も考えも生きてる時代も違う。
状況一つ変わればベストな選択肢も変わってくる。
仮に実践出来たとしても既に人が歩いた道だ。
成功者とは言い難いし、おいしい部分はすべて著者に食べられている。
 
ハウトゥー本も似たようなもんで、サクセス本との違いは著者が有名か無名かの違いにある。
結局誰かが歩いた道なんでそんなにおいしい思いは出来ない。
もし本1冊で誰しもお金持ちになれるなら、日本はもっと豊かな国だし
学校でも教科書の代わりに、ハウトゥー本を使って授業をする。
 
本の話になってしまったが、著者と読者をそれぞれ「親、または教師」と「子供、または生徒」に置き換えてみてほしい。
親は自分の成功体験を子供に押し付けていませんか?
教師はほとんどが自分の夢が叶った人だと思います。生徒に夢を叶える事を押し付けていませんか?
自分の成功を語り、押し付けるのは却って子供に不利益ですよ。
 
もちろん夢をみせて頑張らせる事も大切だと思います。
でも夢しかみない理想しか追えない人に育てるのもどうかと思います。
ですので親と教師で役割分担をしてはどうでしょうか?
今は教師も親も子供に夢を追え追えと強要しています。
だから親か教師のどちらかが子供に現実を教えてはいかがですか?
大切なのは夢と現実の両方を教える事です。
 
日本では「好きな事」を仕事にしなさいと教わりますが、
アメリカでは「一番稼げる事」を仕事にしなさいと教えるそうです。
どちらにも一長一短があると思います。だからこそ両方教える方がいい。
両方の価値観を理解し、自分にとってどちらが向いているのかを自分で考えられる
そういう人を育てませんか?